Q1. 廃掃法上の業許可を持っていない一般的な販売業者が、医療関係機関より廃棄物を引き取り、その廃棄物の処理を廃棄物処理業者へ有料で委託することはできるのでしょうか?その際、販売業者は、業許可を有する廃棄業者へ多額の費用の一部、または全部を負担しています。
A1. 廃掃法上の業許可を持たないものが廃棄物を収集運搬する行為は、商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取る行為でなければ、廃掃法上違反となります。他方、医療機器業公正競争規約上、廃棄物を無償で引き取る行為は、排出事業者が本来支払わなければならない費用の肩代わりに該当するため、制限されます。
従って、医療関係機関から廃棄物を引き取ることはできません。
Q2. 医療機器業公正競争規約上、無償で引き取る行為は制限されますが、販売業者等が廃棄処理する場合に必要となる費用(収集運搬 費用含む)を医療関係機関に請求し、支払って貰えば、販売業者側での廃棄物の処理(引き取り含む)は可能となるのでしょうか?
A2. 廃掃法上の業許可を持たないものが廃棄物を収集運搬する行為は、商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取る行為でなければ、廃掃法上違反となります。従って、廃掃法上の業許可を持たない販売業者等が、費用を支払って貰って医療関係機関の廃棄物を処理することはできません。
Q3. 販売業者が、新しく医療機器を販売し、設置するため、不要となった機器を撤去する場合、当該販売業者を排出事業者と解釈することはできないでしょうか?
A3. 不要となった機器を撤去する場合において、当該販売業者を排出事業者と解釈することはできません。排出事業者は、あくまでも医療関係機関となります。
Q4. 廃掃法上では、新たに買い替えをして貰った医療機器と同種の古い医療機器を医療関係機関から引き取って(下取りして)、処理する場合に於いては、収集運搬業の許可は不要であるが、公正競争規約の観点から、この行為は、本来、医療関係機関が負担すべき行為(費用)を肩代わりするものであり、規約で制限されることになると理解しております。
どのように対応するのが適切なのでしょうか?
A4. 医療機器の新たな買い替えに伴う古い医療機器に対する処置としては、廃掃法に則り、排出事業者となる医療関係機関が古い医療機器を自ら廃棄処理を行うこと、又は、業許可を有する収集運搬業者及び中間処理業者に、それぞれ契約でもって処理委託を行い、古い医療機器を引き取っていただくことのいずれかになります。
尚、廃掃法上の下取り行為は、医療機器業界では実施不可であることはご理解の通りとなりますが、販売業者等が廃掃法上の業許可を有していれば、廃棄物を取り扱うことについては問題ありません。
Q5. 医療関係機関から有価物(部品取り⽤等)として買取(下取り)を行った際は、買い取った販売業者等に所有権が移転するため廃棄物ではなくなると思われます。この場合、伝票発行が必須と考えますが、0円伝票でも買取(下取り)として認められるでしょうか?
A5. 医療機器業公正競争規約において、『下取り』とは旧製品について何らかの価値を見出して有価物として取扱う場合にのみ可能となっております。医療関係機関から無償で入手した医療機器を有価物として取扱うこと自体は規約で制限されるものではありませんが、表面上有価物扱いで入手し、実際は廃棄目的となると、『医療関係機関が行う廃棄に係わる費用の肩代わり』に該当するため、規約で制限されることから、運用上十分な注意を払う必要があります。また、廃掃法上も、0円での買取は「有価物」ではなく「廃棄物」と見なされる可能性があり、注意が必要です。無償で入手した医療機器の資産価値をどのように設定するかも難しい問題ですので、有価物として取り扱う際には可能な限り有償での入手をお勧めします。やむを得ず無償で取引する場合も、受取書等にどのような目的で使用するかといった入手目的を明記することをお勧めします。
Q6. No.4から、医療機器の場合、廃掃法上の業許可を持たない販売業者等が医療関係機関から廃棄物として持ち帰ることができないことを理解しました。それでは、医療機器以外のパソコンなどは持ち帰ってもいいでしょうか?
A6. 医療機器以外も廃棄物として持ち帰ることはできません。
廃棄物処理の観点からは、新しい製品を販売する際に同種の製品で使用済のものを無償で引き取ることは、産業廃棄物収集運搬業の許可がなくても可能です(新しい製品を販売せずに、廃棄物を引き取る場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要)。ただしこの行為は、本来医療関係機関が負担すべき廃棄費用の肩代わりとなるため、医療機器業公正競争規約の観点からは、許されません。
従いまして、医療機器の販売を不当に誘引する行為に繋がるとして、医療機器以外の商品も医療機器と同様のルールを適用する必要がありますので、医療機器を販売する企業は大型器械・小器械・パソコン周辺機器・技工関連機器・消耗品・雑品なども廃棄物として持ち帰ることはできません。
Q7. 官公庁等の入札時の仕様書に、撤去した医療機器の廃棄費用を取付費に含むよう指示がある場合があります。その場合の対処方法があればお願いします。
A7. 医療機器業公正競争規約の観点から、販売業者が官公庁等に代わって廃棄することはできません。
排出事業者は官公庁等であり、その認識を官公庁等と販売業者の間で明確にした上で、廃掃法に基づいた対応をしていくことが求められます。具体的には、排出事業者である官公庁等が廃掃法の委託基準(廃棄物処理業者との産廃処理委託契約締結、マニフェスト交付等管理)に基づき処理委託をする必要があります。
販売業者は、官公庁等が排出事業者として行う処理委託の支援行為に対し、費用を計上することは可能です。
Q8. 従来、医療機器業公正競争規約上、広告で「下取り」と言う言葉の使用はダメで「買い替え」なら良いと言う案内もされていました。この辺り、「下取り」と言う定義が廃掃法改正で変わったのでしょうか?
A8. 医療機器業公正競争規約及び廃掃法上の「下取り」の定義は、変わっておりません。
しかし、両者での「下取り」の定義は異なりますので注意が必要です。
【下取りの定義】
廃掃法:「新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する」行為
[平成12年9月29日 衛産第79号、改正:平成18年2月16日 環廃産発第060216003号、改正:平成18年9月4日 環廃産発第060904003号]
医療機器業公正競争規約:有価物として相応の価格で買い取ることを指し、廃棄物に当たらない
[公正競争規約Q&A No.402、403、404、405(医療機器業公正取引協議会の会員事業者のみ閲覧できます)]
詳細は、歯科医療機器の廃棄物処理に関するガイドラインの下取りの解説をご参照ください。
Q9. 排出事業者に産業廃棄物収集運搬業者や産業廃棄物処理業者を紹介し機器⼊替に伴い発生した廃棄物を運搬や処分していただくためには、その一度の廃棄の為に事前にそれぞれと二者契約が必要となるのでしょうか?
A9. 機器入替に伴う廃棄ごとに業許可を有した廃棄物収集運搬業者および処分業者との二者契約が原則です。尚、収集運搬業者と処分業者が同一の場合に限り、収集運搬と処分を一つにした廃棄物処理委託契約書の締結が可能です。
Q10-1. 処分場がある産廃業者に収集運搬も依頼する場合、医療関係機関がマニュフェストを発行しますが、排出事業者・排出事業場はそれぞれ医療関係機関名になりますか?
A10-1.処分場がある産廃業者に委託する場合、医療関係機関が排出事業者として委託契約を取り交わし、排出時に排出事業者・排出事業場ともに医療関係機関としてマニフェストを交付することになります。
Q10-2. 収集運搬許可を有するが処分場のない業者に依頼した場合、マニュフェストの発行は収集運搬業者が処分場業者に対して発行することになるのでしょうか?
その場合、医療関係機関はマニュフェストを発行しなくてもいいのでしょうか?
その場合、排出事業者が収集業者になり、排出事業場が医療関係機関になりますか?
収集運搬業者に対して処分費用の支払いになるがそれは問題ありませんか?
A10-2. 処分場のない収集運搬業者に収集運搬を委託する場合では、排出事業者は収集運搬とは別の処分業者と委託契約を取り交わす必要があります。この場合であっても医療関係機関が排出事業者・排出事業場となり排出時にマニフェストを交付することになります。処分委託費の支払いを収集運搬業者経由とすることは問題ありません。この場合には、処分業者との委託契約書で、委託料金については収集運搬業者を経由して支払う旨を記載してください。
Q11. 廃棄料を運搬処分業者から当社を通じて医療関係機関に請求は可能ですか?
当社で撤去のお手伝い(トラックへの積み込み)をすることは可能ですか?
これまではお手伝いの対価として手数料を載せて廃棄料と合わせて医療関係機関に請求していましたがそれはできなくなりますか?
A11. 排出事業者は収集運搬業者と処分業者と直接委託契約する事が廃掃法により求められていますが、処理業者の取次として貴社が介在することは可能です。取次として貴社が仲介に入り、収集運搬および処理業者から貴社が請求を受け支払い、一方で貴社が医療関係機関に請求することは可能です。ただし、排出事業者と委託先の処理業者(収集運搬業者、処分業者)間で、委託契約書を取り交わす必要があり、その契約書には排出事業者と処理業者間の委託料金を記載しなければなりません。留意事項として、
① 許可のない事業者が処理委託を受託することはできません(ブローカー行為の禁止)
② 処理委託を受けた処理業者は、受託した廃棄物を他の処理業者に再委託することはできません(再委託の禁止)
処理委託契約とは別に、契約を仲介する手数料や排出時の作業費として、排出事業者に請求することは問題ありません。
Q12. マニフェストの発行単位を教えてください。
1 台ごと、機種ごと、トラック積載量ごと等、どのような単位で発行しますか?
A12. 発行単位は委託内容により異なりますので収集運搬業者に相談されるか、管轄する都道府県等の産業廃棄物主管部局にお問合せください。
Q13. 医療機関が産業廃棄物収集運搬費⽤と産業廃棄物処理費⽤についてディーラー経由での支払いを希望された場合の対応方法はありますか?
A13. 排出事業者は収集運搬業者と処分業者との直接委託契約を交わすことが廃掃法により求められていますが処理業者の取次としてのディーラーが介在し、収集運搬費用および処理業費用をディーラーを介して請求支払いすることは可能です。ただし、排出事業者と委託先の処理業者(収集運搬業者、処分業者)間で、委託契約書を取り交わす必要があり、その契約書には排出事業者と処理業者間の委託料金を記載しなければなりません。
販売業者等が代行できる範囲については、都道府県によって見解が異なりますので個別に確認が必要になります。具体的には管轄する都道府県等の産業廃棄物主管部局、或いは資源循環協会にお問い合わせください。
Q14. 廃棄する医療機器内に使用されている電池類の取扱いについて教えてください。
A14. 電池類の取り扱いについて、以下を参考にしてください。
- 代表的な電池類
- 産業廃棄物の種類
- 排出時の取り扱い
- リチウムイオン電池
1)乾電池
2)ボタン電池
3)充電池
・ニッカド電池
・ニッケル水素電池
・リチウムイオン電池
1)汚泥、金属くず
2)ケースによって汚泥、金属くず、廃酸
3)乾電池の場合、水銀使用製品産業廃棄物(汚泥、金属くず)となることもある。
1)できれば分解、分別し、機器から電池類を取り出して排出する。ただし無理な分解はしない。
2)電池や充電池自体は分解しない。
3)-1分別して排出する場合
両極にテープ等を貼り、絶縁して排出する。
3)-2分別できない場合
収集運搬時に、委託業者に充電式電池が内蔵されていることを伝える。
特にリチウムイオン電池は衝撃により発火する危険があるため、排出時には注意が必要となる。(詳しくは環境省のホームページをご参照ください。)
*出展 : 環境省パンフレット、東京都パンフレット
Q15. ⻭科用ユニットを廃棄する場合、滅菌消毒等の処置を実施しなければ、「感染性廃棄物」に該当しますか?また、環境省が示している感染性廃棄物の判断基準に基づき、医療機関で「感染性廃棄物」に該当するかを判断していただくことになりますか?
A15. 環境省「感染性廃棄物処理マニュアル」に記載されている感染性廃棄物の判断フローに基づき判断してください。ただしフローで判断できない場合は歯科医師等により、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とします。
尚、個別機器ごとの該当性判断については、管轄する都道府県等の産業廃棄物主管部局へ問い合わせください。
Q16. 製品を納品する時に、不要となった段ボールやプラスチック・ビニールなどは販売業者が回収して廃棄しても問題ありませんか?
A16. 問題ありません。
製品を納品する時に発生する梱包材や梱包箱は、販売業者側が輸送時に製品を保護する目的で使用しているものであることから、設置作業に伴って発生する廃棄物ともみなすことが出来ます。
従いまして、医療機関の事業活動において発生する廃棄物に該当しない事から、納入業者を通して販売業者が回収し、廃掃法に従って適正に廃棄を行って下さい。
Q17. 医療関係機関が医療機器を購⼊した際に、販売業者が不要となった医療機器を解体し、収集運搬業者の運搬車両に積み込むまでの作業を行っても問題ありませんか?
A17. 販売業者が、排出事業者及び運搬の委託を受けた収集運搬業者の監督の元で、不要となった医療機器を解体し、収集運搬車両への積み込み作業を行うことは、問題ありません。
ただし、販売業者が販売業者の車両を使って収集運搬車両の所まで廃棄物を運搬するような場合は、この限りではありません。
Q18. 買い替えを行った際に不要となった医療機器を、廃棄物として収集運搬業者へ引き渡すまでの間、医療関係機関で保管が出来ないケースが想定されます。その場合、医療関係機関からの依頼で販売業者が廃棄物を一時的に預かる行為は廃掃法上、認められるのでしょうか?また、一時的に廃棄物を預かった際には、預かり料として保管料を請求することは可能でしょうか?
A18. 医療関係機関で不要となった医療機器を廃棄する場合は、その医療関係機関が排出事業者となります。
廃棄物を医療関係機関から販売業者側へ運搬することは、産業廃棄物の収集運搬行為とみなされます。また、販売業者側で保管することは、産業廃棄物の積替え保管行為に当たりますので、どちらの行為も業許可が必要となります。
業許可を持たない販売業者が、これらの行為を行うことは廃掃法違反となります。
従いまして、業許可を持たない販売業者は、保管行為を行う事は出来ませんので、保管料金を請求することもできません。
その他、廃棄を予定している使用済み医療機器を、実情と異なるかたちで有価物と位置付けたり、修理検討品などと称するなどして、運搬、保管する行為は違反となる恐れがありますので、ご注意ください。
Q19. リース物件の医療機器をリースアップのタイミングで⼊替し撤去する場合は、撤去する医療機器の最終所有者はリース会社となりますので、その撤去するリース物件を廃棄する場合は、リース会社が排出事業者として、収集運搬業者と処分業者の各々と契約し、費用負担をするということになるのでしょうか?
A19. 排出事業者は、事業活動に伴った廃棄物を、自らの責任において適正に処分することが求められております。
リース物件の場合は、リース事業の廃棄物と歯科医院事業の廃棄物との考え方があります。そのことからリース会社にご相談をお願い致します。
Q20. 臨床用貸出しの医療機器に関して
◆対象の臨床貸出し用医療機器 :口腔内スキャナー
◆廃棄対象のパーツ :スキャナーチップ
*口腔内をスキャンするために口腔内に入る先端のチップ部分、単回使用ではなく、滅菌しメーカーの定める最大利用回数まで再利用可能
製造販売業者が貸出した医療機器の最終排出業者(廃棄処分を行う者)は、製造販売業者(貸出し側)となります。従って、貸出し機器の付属品であるスキャナーチップも同様に、製造販売業者が貸出し機器と併せて引き取り、廃棄処分を行うという認識で宜しいでしょうか。
また、貸出し先の医療機関から廃棄品を引き取る場合、製造販売業者は、廃棄物を運搬する為の業許可を取得していなければならないのでしょうか。
A20. 前段については、ご認識のとおりです。
当該スキャナーチップは臨床評価用貸出し機器の付属品として、貸出し機器と同様に貸出し側に返却することになると考えます。
また、後段のお問い合わせについては、貸出し先の医療機関から当該スキャナーチップを引き上げるのは返却品であり、まだ廃棄物ではありませんので、引き上げの際の産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。
Q21. 修理業者は、出張修理で交換した部品を持ち帰る場合、感染性廃棄物に該当する部品も持ち帰ることができるのでしょうか?
A21. 歯科医師が交換した部品を感染性廃棄物と判断した場合には、医療関係機関で廃棄をお願いして下さい。
万が一、修理業者が交換部品を持ち帰る場合は、院外感染防止の観点から医療関係機関で院内処理(オートクレーブの滅菌処理など)を確実に実施した後に、歯科医師が非感染性廃棄物であると判断した部品のみ持ち帰るようにして下さい。
院内処理が出来ない場合は、持ち帰ることなく、医療関係機関での廃棄をお願いして下さい。
※医療機器修理業責任技術者専門講習会 共通資料 持ち帰り修理手順書の記載には、「持ち帰り機器の消毒(滅菌)処理を医療機関で行って貰い感染防止をはかること」とある。
Q22. 修理業者が修理品(医療機器)を預かり、修理代の見積を医療関係機関へ提出した後、医療関係機関が「修理不要で廃棄する」と判断した場合に、修理業者はどのように対応すべきでしょうか?
A22. メーカー・修理業者が医療関係機関に代わって廃棄することはできないため、未修理の(修理不要の)医療機器は原則として、医療関係機関に返却してください。トラブルを未然に防ぐため、預かった修理品の⾒積時に、修理中⽌となった際の廃棄は排出事業者が行う事や返送料を明記するなど、事前の説明を推奨いたします。
尚、排出事業者である医療関係機関が委託した収集運搬業者が、修理業者の元へ引き取りに来る方法も可能ですので、No.24も併せてご確認ください。
Q23. No.22の預かり修理品のケースで、預かり修理品が産業廃棄物に切り替わるポイントは収集運搬業者が修理事業者に引き取りにきた時点という理解で良いでしょうか。
A23. 預かり修理品が産業廃棄物に切り替わるポイントは、厳密に捉えると、排出事業者が廃棄する意思を決定した時点となります。修理事業者は他人の廃棄物を預かる状態になるため、廃掃法に完全には合致していませんが、預かり修理をせず廃棄に変更するという実態があるため、廃掃法の求めるところに近づけるには、速やかな処理業者の手配、廃棄物の引き渡しが求められます。
Q24. 預かり修理で一旦修理業者に引き取られた医療機器について、医療関係機関が「修理不要で廃棄する」と判断した際に、排出事業者である医療関係機関の責任の下、収集運搬業者、中間処理業者とそれぞれ契約を交わし、マニフェストの交付等の廃棄処理を行うための手続きを進め、修理業者に預けられている医療機器を収集運搬業者が引き取りに行くことは可能でしょうか?
その際、収集運搬業者は、修理業者に預けられている医療機器について、自治体を跨いでの収集運搬を行うことは可能でしょうか?
A24. 可能です。預かり修理品の所有者は、修理を依頼した医療関係機関となるので、医療関係機関が排出事業者となります。預かり修理品が廃棄物となる時点は、前述の通り医療関係機関が廃棄物として処分する意思決定を行なった時点となりますので、意思決定と引き渡しの間はなるべく短時間であることを推奨します。
また、収集運搬業者が積み込み地の自治体と積み下ろし地の自治体のそれぞれの許可を持つ場合は、自治体を跨いでの収集運搬は可能です。その際には、収集運搬業者の許可の有無を予め確認しておく必要があります。
Q25. 修理業者が、医療関係機関(排出事業者)から廃棄依頼を受けるのではなく、収集運搬業者の紹介依頼をいただいた際に対応することは、無償であれば廃掃法に抵触しないでしょうか。
A25. 収集運搬業者を紹介することは廃掃法には抵触しません。無償に限らず有償であっても同様に抵触しません。
Q26. 収集運搬業者と排出事業者との間で契約のやり取り中に修理品を預かっているので、収集運搬業者から保管料(倉庫料)を請求することは可能でしょうか?
A26. 修理見積りの期間を除いて、廃棄の意思を決定してから長期間滞留することは望ましくありません。長期間の滞留を抑止する方法として、あくまで便宜的に保管料を請求するという形式にすることはあり得ることですが、実際に金銭を得ることは、他人の廃棄物を保管し対価を得るということとなり、廃掃法違反とみなされる恐れもありますので、控える方が望ましいと考えます。
返却遅滞の長期化を避けるため、あらかじめ修理不要となった場合の預かり期間を定め、医療関係機関に伝えておくなどの対応をご検討ください。
Q27. 海外の医療関係機関が排出事業者となる場合でも廃掃法は適用されますか?
A27. 廃掃法は国内で発生する廃棄にのみ適用されます。その為、修理品が海外に返却された時点でその国の法律が適用されます。
Q28. 収集運搬業者が中間処理業者を介さずに、全ての廃棄物をリサイクル業者に持ち込むことに問題はあるでしょうか?
このケースでは、マニフェストにおける「産業廃棄物の数量」欄と「有価物収集量」欄に同じ数量が記載されることになります。
A28. 排出事業者が有価物をリサイクル業者に売却し、その運搬を一般貨物運送業者に委託するケースでは、運搬業者は産業廃棄物収集運搬業許可は不要ですが、一般貨物等の運送業者であることが必要です。この取引は有価物の売買であるため、マニフェストの運用は不要です。ただし、運搬料金が売却価格よりも高額な場合、廃棄物と見なされ、廃棄物としての運用が必要になります。
また、廃棄物が古紙、金属くず、空きビン類、古繊維のような「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」の場合、許可なく収集運搬および処分が可能です。これらの廃棄物は産業廃棄物でありながら、特定の「専ら物」として処理されるため、委託契約書の締結は必要ですが、マニフェストの運用は不要です。ただし、記録としてマニフェストを運用することは問題ありません。この場合でも、産業廃棄物の処理を委託するにあたり、排出事業者責任があることに留意する必要があります。
Q29. 中間処理業者を介さずに、全ての廃棄物をリサイクル業者に持ち込む場合、マニフェストの管理はどのようになるのでしょうか?
A29. ケースによりマニフェストの交付が必要となる場合があります。
専ら物(No.28の回答参照)はマニフェスト交付が不要ですが、専ら物として認められないものは、環境省通達にある総合判断説(環境省通知「行政処分の指針について(通知)」 平成25年3月29日 環廃産発第1303299号 参照)により廃棄物と見なされ、マニフェスト交付が必要となる場合があります。その場合には、リサイクル業者へ持ち込むまでは廃掃法が適用され、排出事業者と収集運搬業者(産業廃棄物収集運搬業許可が必要)との産業廃棄物収集運搬委託契約の締結、収集運搬業者が受入側事業者に渡すまでのマニフェスト(A、B1、B2票のみ)の交付・回付が必要となります。